冬の夜はこんなに長いものだっただろうかと記憶を弄りながら車を走らせていると、遠くの空が染みてゆくように白んできた。
AM6:06、このとき流れていた曲は
『たぐいまれる』
まるで夜はこのまま明けないかのような
夜明けに似つかわしくない旋律。
目の前のコンクリートの壁に当たって砕けた宝石の粒が、暗闇に美しく沈んでゆくような歌声。
美しいものが砕けて放射状に落下するまでの、そのスローモーションの間に獲得できる煌めき、絶望。
悲しみに落ちてゆくのがこんなにも心地よいのは本当にあぶない。
11分06秒に集約された摂理から脱したとき
空の紺碧はすっかり白んでいた。
今日もきっと寒いのだろう。
_liiiiil_
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